米国株の今後の見通し?最高値更新だ!の理由とは

米国株のピークアウト懸念は杞憂だ

米国株は高値警戒感を指摘されながらも、昨年は史上最高値を70数回も更新しており、今年も新年早々から大幅高となった。

一方で、多くの投資家は米国株の今後の見通しに懸念を抱いているようだ。

2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は9年目に入り、景気循環論からすれば、そろそろ一旦ピークアウトし景気後退局面に入るとの見解が大勢のようである。

まぁ、もっともNYダウ株価が2015年に史上最高値を更新してからずっと、株価ピークアウト懸念を抱き続けてはいるのだが…。

しかし、そういった懸念とは裏腹に米国経済は拡大し米国株は史上最高値を力強く更新している。

景気循環論からすればピークアウトだとぉ?ビジネスサイクル論なんてあたったためしがないだろ!

経済理論はバサッと多くの要素を削ぎ落とし核となる原理を抽出しシンプルに美しくしているため、そのまま今に応用しても上手く機能しないのは当然である。

人間味を全て削ぎ落した抽象理論を今の現実世界に落とし込み、人間味を復元した理論に再構築しなければならない

人間味なく現実知らないメディアで売れっ子のエコノミストたちの予測が当たらないのはそのためだ。

思考もパラダイムシフトしろ!

AI(人工知能)が人類の知能を凌駕し、人類の進化速度と文明に計り知れない影響をもたらすシンギュラリティ(技術的特異点)が2045年に起こると予測されていることは、既に多くの人が本やメディアなどから聞いた事はあるだろう。

本当にシンギュラリティが起こるかはわからないが、程度の差はあっても明らかに今とは大きく異なった産業構造に転換することは間違いないだろう。

そして、案外理解できてない人が多いが、2045年にガラッと変わるのではなく、徐々に加速して変化していくのである。

つまり、シンギュラリティへの変化は現在進行形であり、既にパラダイムシフトは起こりつつある現実を理解して、株式や債券などマーケットを見なければ正しく今を把握できないのだ。

なぜこんなに米国株は強いのか?

通常、景気対策である財政出動はどういう局面で行うか?

そう、景気低迷や不況期に行うものである。

今の米国はどうか?

どの景気指標を見ても絶好調な景気拡大局面の中で、巨額の減税と支出拡大(インフラ投資)を行うといった、過去にはない異例の対応をしようとしているのだ。

では、米国経済はバブル期の様に過熱しているのか?

NO!

個人や企業の借り入れも全く過熱しておらず健全であり、米国株のバリュエーションも過去との比較では高値圏ではあるものの健全だ。

では、なぜこれほどまでに米国経済は堅調で株価も上昇し続けるのか?

その鍵を握るのは、テクノロジーの進化である。

順を追って説明しよう。

デジタル革命による生産性上昇から企業は利益最大化となる一方で、追加の設備投資の必要性が従来より低下し、その結果、企業は資金が余っているのである。

米国企業の内部留保は過去最高に達しているのだ。

このような状況で今何が起こっているか?

まずは物価が上がり難くなっている。

解り易いのがアマゾンによる他産業への影響だが、テクノロジーの進化で生産性上昇すれば、これまでかかってたコストも削減でき、加えて需要が増えても、従来より供給を圧迫しないことで、物価が上昇し難くなっている。

つまり産業構造が大きく転換してきているのだ。

そして、物価上昇率の低迷に伴い賃金も上がりにくくなっている。

企業は現在も未来へも強い業績見通しがベースにあって初めて賃金を引き上げることとなる。

コストである人件費を賄える売り上げ増加が見通せないと賃上げしないのは経営者として当然の判断である。

企業の業績改善する局面にもレベル感と順序がり、まずは量が拡大し、更に需要が強まると需要超過から値上げが可能となり、価格効果から売上も利益も一段と拡大する。

そして、今は強めの景気にも拘らず、デジタル革命による生産性向上から需要を吸収できることから、弱めの物価状態であり値上げが本格的にできる程のインフレ経済にはなっていないのだ。

そして、この弱めの物価により金利も景気の強さの割には米10年国債で2.4%前後と上昇が鈍くなっており、更にFRBの金融政策も利上げ局面に移行しつつも緩和的な金融政策が維持され(実体経済に比べ)、これが更に景気をサポートすることとなっている。

何か不思議な構図に見えるかもしれないが、以下のサイクルにより適温相場が維持されている。

適温相場サイクル ⇒ 「強めの景気 → デジタル革命で生産性上昇 → 弱めの物価上昇 → 弱めの賃金上昇 → 弱めの金利上昇 → 緩和的な金融政策 → 更に景気をサポート

多くの投資家の懸念は主に3パターンあり、①史上最高値の株価のなか景気循環論からピークアウトする、②弱めの物価が続くなか、利上げが続き長短金利が逆転する(逆イールド)事で景気後退に転じる、③弱めの物価が強めの物価となり、このゴルディロックスが崩れることによる相場への影響、といったとこだろう。

①はテクニカル分析の域をでない根拠薄弱な懸念だ。②は政策ミスに起因するが、今のFRBのスタンスからすると、その可能性は限りなく低いだろう。

よって、私のメインシナリオは③の強めの物価に転換することだが、その時の影響は、一旦は様々な思惑から相場は乱高下するだろうが、結果的に経済も株価も更に上昇するステージに移行すると考えている。

物価と賃金と金利と株価が騰がり出す!

前述した様にデジタル革命による生産性向上により、強めの景気と弱めの物価が併存していると説明したが、物価を弱めにしている要因が、実はもう1つある。

それは、強めの景気の割に企業の設備投資が盛り上がっていないことだ。

なぜ、強めの景気の中で企業は設備投資が盛り上がらないのか?

これもデジタル革命によるビジネス構造の変化が起因している。

米国経済を牽引している代表的なテクノロジー企業としてFANGやMANTは耳にしたことがあるだろう。

米国株時価総額トップは100兆円のリンゴことアップルであり、マイクロソフトも約100兆円、グーグルは約87兆円、アマゾンは約66兆円、フェイスブックは約60兆円と、このトップ5社で413兆円になり、日本の東証一部株価指数700億円の6割程度の規模である。

ちなみに日本のトップはトヨタ自動車で約22兆円だ。米国企業はスケール感が圧倒的だろう!

話が逸れたが、これら世界経済を牽引するテクノロジー企業は、従来の様に設備投資をしなくとも設備が強化されるメカニズムとなっている。

アップルやアマゾンやグーグルなどのプラットフォーマーは、追加の設備投資がなくとも、ユーザーから支持されユーザーが増える程にデータが増えることで、AIによる解析と性能アップから利便性が増し、自己増殖的に資本が強化されるのである。

よって、売上も利益も急激に増加する割には、設備投資の需要が低いのだ。

だから、米国企業の内部留保金額は過去最高に積み上がっており、企業は資金が余ってるから資金需要も逼迫せず金利が上がらないないのである。

では、今後も資金需要は逼迫せず、物価も金利も弱いままなのか?

NO!

米国を筆頭に先進国の共通の課題は低インフレからの脱却であり、更には高圧経済(高インフレ)を容認するスタンスが強い。

つまり、需要を大きく引き上げる事を政策的に行おうとしている。

これからトランプ政権は何を行おうとしているか?

そうである。10年で1.5兆ドルの大幅減税に加えて、今後は1兆ドルのインフラ投資を計画している。

インフラの老朽化は日米ともに激しく需要は十分ある上に、波及効果も期間も長いインフラ投資は景気を押し上げることとなる。

オックスフォード大学の発表で、10年後には約47%の人の仕事が なくなり、今の子供たちの大半は今では想像もつかない職業に就くと予測していた。

つまり、これから政策的な需要引き上げ(インフラ投資等)に加えて、新産業が台頭するパラダイムシフトが急速に進行する可能性が高いだろう。

まだ、インフラ投資は議会で承認されておらず不透明感は拭えないが、格差社会の拡大による社会混乱(ポピュリズムの台頭など)が世界中に広まっているなかで、この解決策が高めのインフレ率への誘導で所得水準の底上げをする必要性が米欧には必須なのだ。

経済政策は常に正しくは発動されないが、それは時の政権の問題のプライオリティや思惑により採用される政策が異なるからである。

つまり、政治の方向性で採用される政策が決まる。

そして、米欧を中心に今の政治上の最優先のプライオリティは社会(政権)の安定であり、それは経済の安定、所得水準の底上げであり、つまるところ高めのインフレ経済への移行なのである。

余談だが、米国株を近年買い越している最大の投資主体はどこかご存じか?

日本では、外国人投資家と日銀だが・・・

それは、企業の自社株買いなのである。

米国企業の内部留保は過去最高に積み上がっていることからも、米国株のベア相場への転換はまだ先であろう。

もちろん、相場は政策や環境次第では一夜にして変化するので、ウォッチすべき指標のチェックは怠ってはならない

主には、実質中立金利と実質FF金利の差による金利引き締め度合い、賃金上昇率と物価上昇率の比較から個人消費の影響などが先行指標であり、金融危機の前触れとしては金融システムに変調が起こるため貸出金利と国債利回りのスプレッドなどに注意する必要があるだろう。この辺りはまた後日改めるが、今のところ変調はない。

これからの生き方

シンギュラリティが現実となるかはわからないが、人の働く時間が圧倒的に減少しAIにとって代わるのは確実だろう。

そして、デジタル革命による変化は指数関数的に加速するため、この圧倒的な変化のスピードが、人を既存の職業から駆逐し低収入職業に追いやったり、失業者を増加させたりと、時代の変化の狭間で苦しむ人間が増える事が想定される。

もちろん、そのセーフティーネットとして、ベーシックインカムなど制度対応されるだろうが、現実の変化のスピードが速すぎることから、政府の制度対応はも遅れることが歴史的にも容易に予測できるだろう。

まさに、ヨーゼフ・シュンペーターが提唱した創造的破壊であり、これまでの古い非効率なものは新たな効率的なものに駆逐されることとなる。

では、我々はこのパラダイムシフトの過渡期を生き抜くには、どうすれば良いのか?

もちろん正解はないが、経済的な視点から指摘すると、投資家は有望な選択の1つだろう。

労働分配率の低下は継続しており、今後もこの傾向は加速はすれど反転はないだろう。

1人の人間に投資するよりAIに投資した方が生産性が高まるのは明らかだから。

もちろん、全てがAIになるわけではないがAI導入黎明期の今からだと今後は更にAIの存在感が増すのは仕方ないだろう。

企業の稼いだ利益が労働者に配分される比率が下がっても株主になればその恩恵が受けられることは、前述した米国株の最大の買い越し主体が内部留保を用いた企業の自社株買いであることからも理解できるだろう。

日本でもNISAや個人型確定拠出年金iDeCoなど貯蓄から投資へ国を挙げて取り組んでいることも偶然ではないだろう。

そして、投資家としての能力アップは、AI時代でも通用する様々なスキルを身に付けるベースになると考えている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です