原油安の原因と日本株への影響(2)

前回の記事で、原油安の主因は実需の供給超過ではなく、投資や投機マネーの撤退といった金融要因だということを過去の動向からその整合性を指摘しながら説明したので、ご理解頂けてのではないでしょうか。

そして、この原油安は先進国をはじめとした日本経済には100歩譲ってもプラスであり、世界トータルでもプラスなのだと。

そうすると、こんな疑問が湧いてくるでしょう。

原油安が世界経済にプラスなのに、何で株は下がりまくっているの?と。

それは、投資は短期的には思惑で非合理な動きをするものだからです。

しかも、今は短期の投機マネーが非常に大きな影響力を持つに至っています。

この短期視点の投機家は、CTAなどマクロ系ヘッジファンドや、高頻度高速株取引のHFT(High Frequency Trade)や、人工知能を搭載したアルゴリズム取引といったコンピューター売買がメインプレーヤーでしょう。

彼ら投機家の売買が現状の経済状態や企業のファンダメンタルズから、上にも下にも大きく乖離させる要因となっているのです。

だから、彼らの存在とその影響力を理解していない従来の投資家からすると、なんてこんなに株が下がるのだ?ファンダメンタルズからすると売られ過ぎだろ?なんでだ?と理解不能に陥るのです。

そして、理解不能に陥れば不安が助長され思考が停止し、この恐ろしいほど下げに加担し売る提灯投資家に成り下がるか、信用取引でポジション持っている投資家なら強制執行で売らされるか、身動きがとれず不安に怯えながらホールド(結果的にはこれが正解だろう)のどれかになってしまうのです。

そう、現状を正しく理解できない程、不透明感が高い中では、買い手が不在になるなか、容易に相場を売り崩せるため、投機が横行するのです。

そして、この流れを作り出すのが、かの有名なジョージソロスなどが属するマクロ系のヘッジファンド集団なのです。

彼等は現状を正しく理解できる知性を持った非凡な投機家であることは間違いないでしょう。

もちろん、彼らの投機が正しい経済の方向性を示しているというわけではありません。

彼ら一流の投機は、これから向かう経済の方向性を正しく理解しているからこそ投機を成功させることができるのです。

わかりますか?

相場で売買を繰り返す投資家で勝ち残るは少数なのは、ゼロサムゲームからも理解できるでしょう。

かの偉大な経済学者かつ大投資家のケインズの名言である「株式投資は美人投票」が意味する通り、他の大勢の投資家がどう思考し行動するかを読むことが投資では大切なのです。

一流投機家はそれを良く理解しているのです。

その他大勢の投資家は、不安や期待から常に間違った方向へ向かうことをです。

だから、彼ら投機家は不透明感が高まる局面で株価を売り崩し更に不安感を高め、その他大勢を提灯投資家に陥れ、更に強い短期トレンドを作り出し莫大な儲けを叩きだすのです。

そのためには、どういった経済政策が実施されれば経済にどういう影響を及ぼし、その効果がどういう順序でいつ目に見える形で現れるのかを、理解していなければ投機を成功させることはできないのです。

でないと、投機を手仕舞うタイミングを見誤ってしまうからです。

しかも、今は人工知能だの高速取引だのと、目先の動きを読むためのパターン認識や、高速でトレンド追随を競うといったロボット投機家の行動がどれもかしこも類似していることから相場を上にも下にもオーバーシュートさせるのです。

これに、個人投資家や日経リンク債のノックインなども巻き込み、更に相場がオーバーシュートするのです。

そう、今のマーケット(株、為替、コモディティ等)は、一流投機家がタイミングよく仕掛ければ相場を短期で大きく動くかせる仕組み備わっているのです。

しかし、これは長期投資家からすれば実は大きなチャンスを提供してくれているのです。

なんせ、常識から逸脱するくらい売り叩いてくれるのですからバーゲンセールです。

それが、まさに、今でしょ!

もちろん、この急速な原油安のマイナスを受ける主体は存在します。

それが、産油国とエネルギー企業でしょう。

だから、産油国の財政が悪化し、その穴埋めのために株などを売却するのは当然です。

かつて、日本もバブル期にジャパンマネーが席巻し世界の資産を買いまくり批判を浴びてましたが、バブル崩壊後はジャパンマネーは縮小し資産売却に転じてましたね。

しかし、それで世界に何か影響を与えましたか?

ジャパンマネー縮小しても世界経済は成長してましたね。

そう、オイルマネー縮小もただそれだけの事なのです。

同様にエネルギー企業の業績悪化や破綻、それらに関連する企業の業績悪化から株価下落は当然の反応なのですが。

これらエネルギー安に伴うマイナスの影響を受ける企業の業績悪化や株価下落が市場のボラティリティを高めます。

そう、あたかも危機が起こるかのような錯覚を受けて不安になる投資家が多いのです。

しかも、甚大な影響力を及ぼすメディアが原油安による一部への悪影響を危機かのように煽るので更にマーケットは不安定になるのです。

更に、米国利上げ、中国株暴落、ドイツ銀行業績悪化など複合要因も加われば、これを正しく理解できるメディアは皆無な事から、よりマーケットに不安を植え付けたのです。

そう、まさに投機家が売り仕掛けするのには絶好の環境が揃ったのが今の相場なのです。

しかし、日本がデフレ脱却へ前進していることは、日銀・政府の姿勢からも変更はありません。

しかも、この原油安は日本にとっては天の恵みです。

原油高で恩恵を受けていた国や企業から、原油安で恩恵を受ける国や企業に利益の移転が構造的に起こっているだけなのです。

この構造変化に合わせて、当然ながらマネーも大規模に動きます。

利益の低下する国や企業からマネーが逃げるのは当然ですからね。

そう、これが市場のボラティリティを高めてリスクと思われれいるが、実はチャンスなのです。

この構造変化によるマネーの大移動が向かう先がわかっていればですが。

そう、それこそが日本株をはじめ米国など先進国なのです。

欧州は緊縮財政を維持する限りは投資妙味はあまりないでしょうが。

日本のメディアでは、原油安によって物価上昇率が押し下げられることで日銀の物価目標である2%の物価上昇が遠のくから、これを補い物価上昇させるためには円安しかないとの主張がよく聞かれます。

しかし、これは、とんでもない大間違いなので注意が必要です。

この主張の過ちを直ぐに理解できましたでしょうか?

この経済記者が想定している物価上昇は、原油高、円安による押し上げによるコスト高のインフレです。

少し考えればわかるでしょうが、持続的なコストアップのインフレを日銀や日本の人々が望むわけがないでしょ!

それこそ大不況になってしまいます。

日銀が目指しているのは、あくまで好況で需要が供給を上回る、需要超過のインフレなのです。

そうなのです。

コストアップによるインフレは、そもそも持続可能なインフレではないのです。

2014年4月の消費税率引き上げを見ても理解できるでしょう。

5%から8%に消費税率を引き上げたのは、まさにコストアップのインフレですね。

その結果どうなりましたか?

そう、その後の消費者物価指数は、コアコア(原油と食料の影響を除く)でも横ばいから低下に転じ、日本はマイナス成長に陥りましたね。

今の様なデフレ経済の日本でコスト高のインフレを起せば、それ以上に需要が縮小し、物価が上昇するどころか、良くて横ばい、その後はさらに需要低下から物価も下がる懸念が高まるのです。

こんな事は、常識だと思っていたのですが、メディアやそこに登場するエコノミストですら適当なことを主張しているので、気を付けなければなりません。

一方で、日銀総裁である黒田さんは正しく理解しています。

黒田日銀総裁は、原油価格の大幅反落から消費者物価の上昇が抑制されることでデフレマインドの転換が遅れる懸念があると言っていました。

しかし、これは世間一般が、あー物価は下落するんだと思われることが原因で、その懸念が顕在化するリスクがあることに言及しているのです。

黒田総裁はイエレンFRB議長と同じことを言ってます。

「原油価格の下落は長い目でみれば、資源輸入国の日本にプラスの影響を与え、物価を押し上げる方向へ作用するだろう」と言っているのです。

これは当然ですね。

原油安で短期的には総合インフレ率は低下しても、その後には、原油安の景気に対する押し上げ効果が表面化してくるのです。

これこそが、日銀が目指している需要をベースにしたインフレであり、持続可能なインフレなのです。

これでわかったでしょうか?

原油安は日本株には100%プラスです。

しかも、消費税率引き上げは悪影響を及ぼす事は2014年の消費税増税で証明済な事に加え、デフレマインドが高まっている現状を踏まえると・・・・

そう、消費税率10%延期もしくは凍結と、日銀の追加緩和は必至だと思われます。

ならば、今の日本株に買い以外の選択肢があるのでしょうか???

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