最近多くの投資家が思い込んでいる原油安で株安、原油高で株高は本当なのでしょうか?
昨日はロシアとサウジによる原油協調減産の可能性が報じられ原油が1バレル30ドル台へ上昇し、米国株もそれを好感し上昇したなどと本気で思っている投資家やメディアは多い見たいですね。
しかし、あいにくこのロジックは根本的に間違っているのです。
では、なぜ多くの投資家やメディアは原油安が株安要因になると思っているのでしょか?
大凡こんなとこでしょう、幾つか主なものを上げていきます。
原油安により産油国が財政難となりその穴埋めにリスク資産を売却し株安となると。
もちろん、ある程度の株安にはなるが大したインパクトはないのです。
これまで、原油高で恩恵を受けていたオイルマネーが原油安でただ縮小するだけ、それだけの話であって世界経済をシュリンクさせる要因ではないのです。
かつて、日本もバブルでジャパンマネーが世界を席巻してましたね。でも、バブル崩壊でジャパンマネーは縮小しましたが、それで世界に何か異変が起きましたでしょうか?
日本が不景気に突入しただけしたね。
でも、オイルマネーの縮小は原油安から世界景気を押し上げる効果があることは多くのエコノミストも試算しており、実際にその効果も出始めているのです。
それでも、原油安は株安と思い込む人が多いのはなぜでしょうか?
それは、原油安でエネルギー企業の業績悪化で株価急落や、エネルギー企業が多いハイイールド債の利回りが急上昇するといった現象が起きる事で、あたかも経済危機が起きるのではないかと連想してしまうのでしょう。
そう、これまで堅調だったエネルギー企業やハイイールド債などが暴落するのを目の当たりにして、大変だ!!と短絡的な反応を示しているのです。
そして、エネルギー企業の設備投資が大幅に減少しそれが統計指標で出てくると、あっやっぱり、景気は減速するな、と思っているのでしょう。
しかし、これは単に利益が産油国やエネルギー企業から先進国へ移転しているだけで、危機でも景気減速の兆候でもないのです。
逆なのです!
これから、先進国主導で景気は良くなる兆候なのに、原油安で株が売られているのです。
可笑しくないでしょうか?
そう、この可笑しさに気づいている投資家は、今の相場はリスクではなく、美味しいバーゲンセールなのです。
昨日、米国株が大幅高したのも原油が30ドル台へ上昇したのが主因ではなく、その日に発表された消費者信頼感指数が前月の96.3から98.1へと上昇ししかも市場予想をも上回ったことで、やはり原油安が景気減速どころか逆に個人消費にプラスに働いていることが改めて確認されたのです。
原油安は確実に企業コスト低減と個人消費にプラス
売上が伸びなくても、コスト低下で利益は増加しますね。
まさに、これは売上変わってなくても値上げ効果が働くのです。
米国のGDPの7割は個人消費ですが、消費者信頼感指数の上昇しかり、自動車販売が過去最高水準にあることからも、これから米国景気は原油安で景気減速ではなく加速なのです。
もちろん、それを確実にするためには、条件があります。
今年に入ってからの株安、人民元安、原油安などの連鎖的な下落を繋げるキーワードは「FRB利上げ」なのです。
そう、今の相場混乱の根底にはFRB利上げペースによる米国景気減速懸念があるのです。
FRBは年4回の100bpの利上げをアナウンスしていますが、マーケットは年2回程度の50bpぐらいが妥当と催促しているのです。
よって、27日、28日のFOMCで政策変更はないでしょうが、声明文でハト派色を強く打ち出せば、今回の世界株安は終了するでしょう。
なんせ、投機売りのベースが消えるのですから。
だから、FOMCが近づくにつれて、投機売りの巻き戻しが顕著になってきているのです。
もちろん、タカ派的なものが出れば再度、投機売りが旺盛になるでしょうが、イエレンFRB議長の思想・スタンスから定性分析を行えば、恐らくその可能性は低くメインのシナリオにはしない方が良いでしょう。
そして、我が日本国の28日、29日の日銀金融政策決定会合で同様にハト派色を強く打ち出せが、これまでとは真逆のマーケットとなることでしょう。
資産価格の派手な動きに惑わされず、正しく現状を把握することに努めることが未来予測の精度を高めるのです。
と、よく自分に言い聞かせているのですが・・・
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