ここ数日は、来週9月20、21日の日銀金融政策に関する報道が様々なメディアからリークされた内容が伝言ゲームの様になり混乱している。
リークされ報道されている内容はざっとこんなとこだろう。
「マイナス金利を今の▲0.1%から▲0.2%へ深堀」
とか、
「年間80兆円の国債買い入れは維持するが、イールドカーブをスティープ化させるのでは」
とか、
「社債購入や、外債は買わないようだ」
とか、色々な報道がなされ、リークに色々なものが混ざり、当局の意図するメッセージとその市場の反応もよくわからなくなっている状況だ。
日経新聞が1番にリーク記事を載せていたが、要はマイナス金利の深堀を軸に追加緩和を検討しているということだろう。
このリークの真偽は定かではないが、今日はマイナス金利の深堀の効果と影響を考えてみる。
では、仮にマイナス金利の深堀をするならば、日銀は一体どんな効果を期待しているのか?
第一には円安を期待しその円安による物価上昇率の引き上げの効果を期待しいるのだろう。
しかし、残念ながらこの効果は殆どない。
まず、円安で持続的な物価上昇などならないことくら少し考えるとわかるだろ!?
円安効果で持続的な物価上昇させるなら、毎年ずっと円安が続かなければならないだろうが、そんな現象は発生しない。
円安は物価上昇期待の高まりの結果であって、先ではないのだ。
もっといえば、そもそもがマイナス金利の深堀で円安になどならないのだ。
逆に円高リスクが高まる可能性が高いだろう。
なぜだかわかるか?
マイナス金利の深堀で円安になるとの理論は、「短期金利⇒円安」をイメージしているのだが、実際には円安にならない。
実際に1月のマイナス金利導入に瞬間的には、教科書通りの金利差の理論から円安に振れたが、その後は円高で推移しただろう。
なぜか?
そう、為替は単純な目に見える名目金利の差では動かない。
為替の方向性を決めるは、実質金利差なのだ。
もっと、わかりやすい言葉で言うと、将来景気が良くなり物価上昇期待が芽生えると、その国の自国通貨は安くなるのだ。
そう、マイナス金利やその深堀だけでは、物価上昇期待が醸成されず、実際は物価上昇期待が低下した。
そうなると、「名目金利ー物価上昇期待=実質金利」の式からも自明だが、名目金利以上に物価上昇期待が低下すれば実質金利は上昇し自国通貨高、円高に振れるのだ。
更に、物価上昇期待が低下し長短金利差(スプレッド)が低下することで銀行の収益低下が嫌気され銀行株安が発生した。
銀行株の下落は他の金融関連株の連れ安も発生させ、日本株の中で大きなウェイトを占めていることから、TOPIXや日経平均といった指数が下落し、「株安→円高」となるである。
教科書的な理論では、短期金利低下で円安だが、そうはならないことがわかっただろうか?
要は、景気改善期待を発生させ物価上昇期待が醸成されるかどうかが重要なのだ!
そう、マイナス金利だけでは景気改善期待は生まれないである。
あと、国債の買い入れのゾーンを長期を減らし短中期を買うことでイールドカーブをスティープ化させるといった事も噂されているが、これは愚かだ。
需給でイールドカーブをスティープ化させても長続きはしない。
本当の景気改善期待から物価上昇期待が生まれイールドカーブをスティープ化させないと意味がないことくらいわかるだろう。
人為的にイールドカーブをスティープ化させても、景気悪化懸念が発生し長期債を買いたい投資家が当然ながら出てきてイールドはまたフラット化するのだから意味のない政策だ。
まぁ、あれだ。
仮に、マイナス金利の深堀をするにしても、それだけでは絶対にダメだ。
あくまで、質と量が日本経済には必要なんだから。
頼みますよ!黒田さん!
では、ほな、またね!
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