ポケモンGOの世界的な大ヒットにより任天堂株が急騰している。
1株式市場で任天堂株の売買代金が、個別の株式として初めて7000億円を超えトヨタの売買代金をもぶっちぎり、しかも株価は1週間でなんと7割以上も上昇している。
当然ながらバリュエーションもPRE97倍程度と90年代のITバブルを彷彿させる超割高な水準となっている。
この任天堂株は今からでも買いか?売りか?
その前になぜ任天堂がこれだけ超割高な水準であるにも拘らず上昇し続けるのかその理由、原因を理解しなければいけない。
ポケモンGOの大ヒットで業績アップ期待からなどと誰でも思いつく短絡的な理由だけではそこらへんのイナゴ投資家と同レベルになってしまうだろう。
では、ポケモンGOの大ヒットで任天堂株が超割高にも拘らず上昇し続けている理由とは?
まず1つは、ネットゲームのビジネスモデルがこれだけ任天堂株を割高にさせる構造を持っているということだ。
もっと平たく言へば、今は割高だが数年先の業績をベースに考えると今の株価が割高でなくなるということだ。
ポケモンGOの大ヒットから任天堂株の急騰を見ていると、私の頭に類似の記憶がフラッシュバックした。
2014年に大ブレイクしたミクシィだ。
これも覚えている人も多いだろうが、2014年年初は900円程度だった株価が年末には7倍以上の6000円台に急騰していた。
その理由が、モンスターストライク(モンスト)の大ヒットで経常利益は38倍となり、しかもその1年後の15年3月期も大幅増益になるとの見方がされていたのだ。
そして、PERも50倍程度で推移していた。
以下が2014年からの現在までのミクシィの株価推移だが、2014年当時のモンスト大ヒットで株価急騰した6,000円台で買って人は今は半値近くになっている。
しかし、このミクシィの浮き沈みからも今の任天堂株が超割高で推移している理由がわかるだろう。
そう、業績変化率がべらぼうに大きいのだ。
当時のミクシィもモンストの大ヒットだけで経常利益が38倍も増加したことからも理解できるはずだ。
ネット上のソフトはシステム投資の費用を超えると殆ど全てが利益となる。
大半のビジネスでは1売上高の中に幾分か変動費が伴うが、ネット上でダウンロードするのは100でも10000でも費用は変わらない。
つまり、限界利益率が異常に高いので、売上が伸びるとキャッシュをべらぼうに創出できるので注目度が高まるというわけだ。
実際にミクシィのモンストの1本のソフトが大ヒットするだけで、利益も株価もあれだけ様変わりしたのだ。
これが今のポケモンGOの任天堂でも発生しているのだ。
しかし、ミクシィはモンストの勢いが鈍化する前に、次のヒット作や、海外展開に目途を付けるなどの成長期待を持続させねばならなかったが、そのモンストの全盛期以上の期待を維持できなかったため株価は当時からは半値に留まっているのだ。
では、やはりポケモンGOの任天堂株価は割高だから売りなのか?
確かに、ソフトのブームがいつ下火になるかや、次にヒット作の目途などを予測するのは困難極まりないが、ポケモンGOの任天堂株にはミクシィにはなかった株価上昇の仕組みが備わっているのだ。
[…] 前回、ポケモンGOを材料に任天堂が急騰し続けている理由をネットゲームのビジネスモデルから説明した。(忘れた方はこちら⇒ビジネスモデル) […]