なぜ北朝鮮ミサイル発射で円高、その理由とは?

北朝鮮が日本へ向けてミサイルを発射し円が買われる理由がいまいち理解できない投資家も多いようだ。

リスク回避で安全資産の円が買われ円高だとか、巷では言われるが、そんな理由で円を買っている投資家は皆無だ。

もちろん、一部では本当にリスク回避で円を安全と思って買っている投資家がいるかもしれないが、それはおめでたいとしか言いようがないだろう。

なぜ北朝鮮リスクなど地政学リスクが高まると、感覚的にはリスクの渦中の円が売られると思われるのに、逆に円が買われて円高となるかその理由を説明しよう。

リスク回避の円高はポジション手仕舞い

投資家は相場見通しが見通しが不透明になると一旦ポジションを落としリスクを抑制する行動をとる。

特に事態の把握しきれない突発的な事象が発生した際には、投資家(特にヘッジファンドなど投機家)は短期勝負なため、反対売買でポジションを幾分か手仕舞うのである。

だから、事態が把握できない事象が発生しても、彼ら投機家のポジションを把握していればある程度のリスク資産の方向性の予測は可能だ。

では、投機家の通貨ポジションはどうなっているのか?

以下のシカゴ先物市場を見れば誰でも確認できる。

昨年末頃から投機家は円ショートがオーバーのポジションのため、リスク回避の局面ではポジション整理で円を買戻し円高が発生しやすい環境なのだ。

為替市場の売買の約8割は投機マネーと言われており、彼ら投機家のマネーの影響は短期では特に大きいだろう。

日本は経常黒字国かつ超低金利だから

日本は世界1位の経常黒字国だが、投資の視点でこの意味がわかるだろうか?

下記に簡略化した資金フローの式を記載した。

経常黒字(貯蓄超過)⇒ 投資超過(経常赤字)」

更に、日本はマイナス金利を導入し金利水準が世界と比較しても低い

投資マネーは少しでも有利な国・資産へ移行するのは当然であり、円を売って金利水準の高い米ドル債などを買う投資行動が近年は加速した。

しかし、これらのマネーフローは、何らかの事象で相場見通しが不透明になるとリスクを落とす。

つまり、リスクオフの局面ではポジションを手仕舞う円買いが発生するのである。

日本と同様に、経常黒字で低金利の国々である、ユーロ圏、スイス、ノルウェーなどでも、2016年1月の世界同時株安のリスクオフの局面で自国通貨高となっている。

地政学リスクや景気後退リスクなどリスクオフの局面で買われる売られる通貨の特徴の一面がご理解頂けただろう。

日銀イールドカーブコントロール(YCC)が円高促進

円通貨は日銀のYCC(イールドカーブコントロール)によって、対外情勢に応じて円高にも円安にもドライブがかかり易くなっている。

北朝鮮ミサイル発射など地政学リスクによる債券買いが世界的に発生すると、米国国債は買われ金利低下するが、日本はYCCにより金利低下にブレーキがかかることで、日米金利が縮小し円高要因となってしまうのだ。

そもそも日銀のイールドカーブコントロール(YCC)には景気刺激を増幅させる機能が付加されている。

米国金利が上昇すれば日本の金利も上昇するが、日銀がYCCで金利上昇を抑えているため、日米金利差が拡大し円安が促進されることで日本の外需を刺激するのだ。

しかし、今は日本の10年国債金利が既に0%まで低下しており、ここから更に米国金利が低下すると、日本は日銀が0%近傍を維持することで、日米金利差縮小となり円高要因となってしまうのだ。

しかし、後程説明するがその心配は杞憂に終わるだろう。

北朝鮮のミサイルが日本に落ちたら

では、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射し日本へ落ちれば円高、円安どちらになるかわかるだろうか?

ここまで読んで頂いた読者ならイージークエッションだろう。

そう、円高に振れる可能性が圧倒的に高い。

実際に日本へ北朝鮮のミサイルが落とされ被害を被ると、世界中の投資家はポジションを落とすことで円の買戻しが発生することとなるのだ。

2011年3月の東日本大震災の時も原発問題で日本自体のリスクが高まっていたが、その局面でも円高に振れていた。

日本が被害を被った場合でも、日本国民が生きていく上で必要な通貨は円である。

もちろん、資金豊富な一部の富裕層は外貨に分散するだろうが、多くの日本国民は円が必要でありキャピタルフライトは発生しないだろう。

被害を被りしかも政府債務膨張の日本円が買われるのに違和感を覚える人も多いだろうが、感傷的に投資判断をしていては少数の勝ち組投資家にはなれない。

現状を構造的に捉え理解すれば、一歩先の動きは容易に見いだせるだろう。

北朝鮮有事で円高はいつまで続くのか

では、今回の北朝鮮有事によるリスクオフで円高はいつまで続くのか?

結論から言えば、既にリスクオフは収束しており、トレンドは円安が維持されていると見ていいだろう。

シカゴ先物市場でも積み上がっている円ショートの買戻しも進行しておらず、またVIX指数も14まで上昇したが、既に北朝鮮ミサイル発射前の水準(11)まで戻っていることから投機家の戦略(円安ポジション)も変化はないようだ。

詳細は割愛するが、金融政策の方向性(米国:緩和縮小、日本:緩和拡大)、マクロ見通しからも、遅かれ早かれ米金利上昇が発生し円安ドル高へ動き出すだろう。

よって、リスク回避から円高ドル安(日本株安)に振れる局面は、米ドル買いと、日本株買いのエントリーチャンスだ。

足下では、9月9日の北朝鮮建国記念日や、10月の米債務上限問題に向けてリスクオフとなり円急騰が発生するリスクはあるだろうが、そこは迷わずに、突撃じゃあ!(キングダムのヒョウ公将軍)

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